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腎臓内科 医員 沖田医師が、大分人工透析研究会で、奨励賞を受賞しました。
おめでとうございます。

このたび第40回大分人工透析研究会で機械学習を用いた透析導入時期の推定について発表させて頂きましたのでご紹介させて頂きます.

 

私たち腎臓内科医は,日常診療で慢性腎臓病(CKD)患者さんに携わっていますが,腎機能が悪化し末期腎不全に至った場合は腎代替療法(透析や腎移植)が必要となります.透析開始までの期間を予測することは,腎臓専門医への紹介,治療方針の決定,患者さん自身の治療への動機付けに有用と思われ,今回はAI技術の一つである機械学習を用いることで,透析導入時期の予測モデル式を作成することが可能かどうか検討しました.

 

当院で2016年4月から2021年3月に血液透析導入した患者さんのデータを機械に学習させ,透析導入日を予測するモデル式を作成しました.予測モデルは決定係数0.83,誤差の中央値は211日,平均値は379日で,おおよそ半年~1年ほどの誤差が出る精度でした.

 

作成モデルを実際に使用した一例をお示しします.60代の男性,慢性糸球体腎炎による透析導入例ですが,下表の一番左の青い部分のように,導入まで1598日でCr 1.3の時点の検査データを今回作成した機械学習モデル式に当てはめたところ,透析導入までの予想日数はオレンジのように1811日という結果が出ました.実際と予想との誤差は213日でした.

 

同様に,半年ごとの検査データを予測式に入れてみた結果をまとめると下表のようになり,グラフにすると下図のようになりました.概ね誤差は100日以内の結果で,今後の使用にかなり期待が持てる結果となりました.

 

 

 

 

今後もさらなるデータの蓄積を行い,モデルの精度を上げることが必要ですが,最終的には臨床現場で使用できるアプリ化を目標とし,患者アウトカムの改善につなげていきたいと考えています.

 

また,今回の発表は大分人工透析研究会で奨励賞を頂くことができました.中田先生をはじめ,ご指導頂いた諸先生方にこの場を借りて御礼申し上げます.

 

機械学習という新たな試みですが,実用化に向けて今後も取り組んでいきたいと思います.

 

 

 

 

 

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