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糖尿病性腎症重症化予防専門外来について

この度、糖尿病性腎症重症化予防推進事業の助教に就任させていただくことになり、大分県の事業に携わることとなりましたので簡単ではございますが、当外来につきまして説明させていただきます。
現在、日本における慢性腎臓病から透析導入に至る疾患として糖尿病性腎症が多く、新規透析導入の4割を占めています。この事実を厚生労働省も重く受け止め、糖尿病性腎症重症化予防プログラムを策定し、日本糖尿病対策推進会議と自治体、医師会が連動し、行政、かかりつけ医、専門医が有機的に連携した体制作りが始まっております。

 

大分県は新規透析導入患者が全国の中でも多く、腎症重症化予防を今後重視する働きが活発となり、大分県―大分大学―大分県医師会の3者による糖尿病性腎症および慢性腎臓病の重症化予防に関わる連携協定が締結されました(2019年12月25日)。そこで、附属病院の内分泌糖尿病内科と腎臓内科の専門医が中心となり、今春より大分県の新規事業の1つとして、糖尿病性腎症重症化予防専門外来の開設を行うことになりました。これは、内分泌代謝膠原病腎臓内科学講座が、全国的にも珍しい糖尿病内科と腎臓内科が、同一の講座医にあり連携をもって臨床・研究できることが大きな強みとなって実現できたものだと思います。
また、当講座の柴田洋孝教授は、高血圧学会、国際内分泌学会・日本内科学会など国内・国際学会の要職を務め、大分県糖尿病臨床医会・会長、大分県糖尿病療養指導士認定委員会・会長、大分市生活習慣病対策推進協議会・委員長、大分県地域保健協議会 生活習慣病対策小委員会委員、大分県腎臓病対策協議会などの会長を務め、これまでも大分大学・大分県の目指す健康寿命を延ばす活動を積極的に行ってきました。

 

当科では、すでに外来看護師、管理栄養士と連携し、2013年から糖尿病透析予防診療チームを立ち上げ、当院外来通院中の糖尿病性腎症患者に対して、徹底した患者指導を行うことで糖尿病性腎症の重症化抑制を実践してきました。これまで顕性蛋白尿期(腎症3期)、腎不全期(腎症4期)の患者31名に対し指導を行い、腎症3期、4期ともにeGFRの低下スピードを緩めることも確認でき(第20回病態栄養学会年次学術総会で報告)、改めて糖尿病透析予防指導が有用なものであることも証明できていると考えております。
今回、新規に立ち上げる専門外来の特徴としましては、原則として大分県内のかかりつけ医から本外来への予約を受け付けて、当院の多職種連携による約3~4ヶ月に1回程度の定期的な総合診断を行い、平素はかかりつけ医での治療を続けていただくことをイメージしております。さらに、糖尿病専門医による専門外来、看護師(糖尿病療養指導士)による看護指導、管理栄養士による栄養指導に加えて、新規に腎臓内科にも協力していただき、腎臓視点での糖尿病腎症進行抑制のための指導を行っていくことを考えております。将来的には理学療法士による運動療法指導、薬剤師による服薬指導なども検討をしており、地域のかかりつけ医と連携した糖尿病性腎症重症化抑制をおこなっていきます。

 

新たな取り組みで至らない点も多々あると思いますが、皆様のご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

 

病院HP http://www.med.oita-u.ac.jp/hospital/gairai_senmon.html#tonyo

 

内分泌代謝・膠原病・腎臓内科
岡本 光弘


 

 

 

 

 

 

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