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岡本将英特任助教の短期留学記

内分泌代謝科 岡本将英

 

Mayo兄弟と一緒に一枚

 

今回私は米国Mayo Clinicに短期留学しました。Mayo Clinicは米国ミネソタ州のロチェスターという都市にある総合病院で、その歴史は150年以上と古く、また米国の病院ランキングでは何年も第1位をキープするなど医療の質も非常に高いことが知られています。今回は当科柴田教授の紹介で、そのMayo Clinicの“visiting clinician program”というプログラムに応募し、内分泌代謝科で数週間の臨床研修をして参りました。

 

 


現地での実習は、米国内分泌学会の元会長であられるDr. William F Young Jr.(Mayo Clinic内分泌代謝科Chair)に期間中べったり張り付いて学ぶというとても贅沢なものでした。主な内容は、①外来症例、②Dr. Youngへのメールコンサルト(世界中から!)への返答、③論文査読、④検査見学です。

  1. 外来
    全米から、時には国外東南アジアから紹介されてくる内分泌症例をDr. Youngと共に診察し、検査や治療を考えます。普段診ることの少ない副腎・下垂体疾患(悪性褐色細胞腫、Addison症候群など)を数多く診ることができ大変有意義でした。また日本との医療制度の違いや可能な検査の違いがあり興味深く感じました(例えば、米国では内服薬を1年分処方することができます)。
  2. メールコンサルトへの返答
    Dr. Youngのもとには一日何通ものコンサルトメールが世界中から届きます。届くたびにそれに対する意見を求められるのですが、わからないことがあれば休み時間や実習後に図書館やインターネットで必死に調べて自分なりの返答を作ります。宿に帰った後でも、深夜早朝関係なくDr. Youngからの転送メールが届くので、毎日泣きながら机に向かっていました。つらい作業ではありましたが、判断に迷う症例の検査や治療を、真剣に、毎日、数多く考えることは、知識の面でも内分泌の考え方のbrush upの面でも非常に良い経験になりました。Dr. Youngから “I agree with you.” の返事がいただけるととても嬉しかったのを覚えています。
  3. 論文査読
    数は多くありませんでしたが、「明日までにやっといてね」と論文を渡されることがありました。これもメールコンサルト同様、睡眠時間は無くなりますが非常に勉強になりました。
  4. 検査見学
    今回、原発性アルドステロン症患者に対する副腎静脈サンプリングを見学しました。非常にorganizeされた現場であり、自分の施設でやっている方法と少し違うのですが、迅速かつ正確であり感銘を受けました。

以上が研修内容の簡単な説明です。


今回の留学で強く感じたことは、
・日本できちんと勉強していれば医学は遜色ない
・臨床診療には高い英語力が必要
ということです。自分がこれまで積み重ねてきた知識と経験が最高峰の医療現場で問題なく通用するという医学面での自信と、臨床現場に携わるには語学力が不足しているという反省を持って帰国しました。
今回、Mayo Clinicでの研修を通して、もっと深く広く内分泌を学びたい、もっと語学レベルを上げたいという強烈なモチベーションを得ることができました。そしてまた、自分ももっともっと精進しようと決心するとともに、後輩にはぜひ早い段階で同じような経験をして、医師としての視野や人生プランを大きく広げてほしいと強く感じました。今後後輩にはどんどん勧めていこうと思います。

 

それから今回の渡米では、Mayoでの研修を終えた後、ボストンに移動し、ハーバード大学附属の糖尿病センターであるJoslin Diabetes Centerの見学もさせていただきました。内分泌代謝の道を選んでからずっと訪れたかった憧れの場所です。糖尿病治療の歴史に必ず登場する人物にかかわる物品や器具の展示を見たり、実際に現地で研究をされている日本人留学生の先生方と食事をしながら意見交換をできた(わざわざ集まってくださいました)ことは素晴らしい経験でした。

 

長くなりましたが、今回の留学は心の底から行って良かったと思える本当に素晴らしい経験でした。必死で勉強したことも、多くの素晴らしい出会いも全てが人生の宝物になりました。もしまたチャンスがあれば、語学を磨いて、今度は長期でチャレンジしたいと思っています。

 

今回の留学に際し、貴重な機会を与えてくださった柴田洋孝教授、忙しい病棟を回してくれた同僚の先生方には心から感謝申し上げます。また現地でお世話になったMayo ClinicのDr. William F Young Jr、Joslin Diabetes CenterのMs. Chihiro Satoのご両人にも感謝申し上げます。



そびえ立つMayo Clinic外来棟

Dr. William F Young Jr.と
Mayo兄弟と一緒に一枚 Mayo Clinic 図書館
宿での夕食はホッとするひととき Joslin Diabetes Centerで留学中の先生方と